Baseball Concrete Blog

主にプロ野球について、セイバーメトリクス的な考えを交えながら好きなことを書いています。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

長打力と得点の分布

このブログで以前打線シミュレータについてなんやかんややっていたとき、得点力を出塁よりも長打力に依っている打線は
同じ得点率でも試合ごとの得点の分散が出塁寄りの打線よりも少なくなる傾向があるようだ、ということを発見しました。
しかしそのことを論じてくれている人を他に見つけられなかったので自分の説に関して「これ結局どうなん?」と若干疑心暗鬼だったんですが
米国のどこかのプロフェッサーが同じことを言っているのがTangotigerのブログに取り上げられています。

Consistency is better than inconsistency?

このWhisnant教授の主張は、得点の分布のまとまった打線のほうが多く勝てて(これは並の水準のチームであれば当然です)、かつ長打率の高いチームが得点の分布の幅が狭まる傾向があり、結果同じ得点率なら長打率が高いほうがいいというもの。私が導いたのとまさしく同じようなことを言ってくれているわけですね。
そしてWhisnantはそのことを利用して、得点率から勝率を予想するピタゴラス勝率式に長打率を組み入れ、新たな式を開発しています。この辺り、さすがに頭の良い人は違います。
定式化しているので長打率の向上による分布の変化の影響がどのくらいかということも具体的にわかるはずです。記事には長打率.080の向上で1勝、シーズンで2勝になる可能性もあると書かれているようですが……まぁ、詳しい式のことはちょっと検証しきれてません。

で、これを紹介しているTangotigerは分散が小さいと勝率に良い影響があるのは肯定しながらも
出塁率に比して長打率が高いと分散が小さくなるというのは逆なんじゃないか、と言っています。
ただし記事中のその意見は証明されたものではなく、やっぱりこれはWhisnantが正しいだろうと思います。自分なりの見解は以前説明した通り(http://bbalone.blog119.fc2.com/blog-entry-197.html)です(今見るとデータの扱いとか含めてかなり粗いですが……)。
コメント欄の議論を見るとTangotigerも意見を変えた様子。

ちなみに式が正しいとして、その有用性に関しては正直なところ懐疑的ですが、定式化してみて「こういう要素があるが、これだけしか影響はないのでさほど注目する意味はないことがわかった」のであればそれはそれで研究としての価値はあるかと。
まぁ今後どう注目されるかはわかりませんけれども。

スポンサーサイト

ゴロとフライ

大雑把に分けると打球には主にゴロとフライがあるわけですけれども
ゴロを打つのはいいことなのかとか、どっちのほうが価値が高いのかということが問題になることがあります。
そして結論から言うと、セイバーメトリクスではフライのほうが攻撃にとって有効で守備側にとってダメージだと見られています。
何故なら安打になりやすいしその上長打になりやすいからです。

というのは、FanGraphsで最近「Groundballs and You」という記事がありまして、わりと議論が盛り上がって発展しているんですが
記事の内容としては非常に簡単で「ゴロとそれ以外の打球を比べるとどちらが価値が高いのか?」という主旨です。
筆者はゴロ一般とフライ(内野フライ&ライナー&外野フライ)一般についてアウト数の期待値と(得点期待値の変動から計測した)平均的な得点価値を算出していて
その結果は平均的なゴロは0.04点・0.80アウトを生み、平均的なフライは0.23点・0.62アウトを生むというもの。
消費するアウトあたりに生み出す得点数という単位で見るとフライのほうが7.4倍も価値が高いことになります(ちなみにライナーを除外して計算してもフライのほうが価値が高いということです。ただしこれはインプレーに限った話ではなく本塁打を含んでいることに注意。インプレーに限ればゴロとフライの価値は同じに近いとコメントされていますね)。

ゴロとフライの比較それ自体は別に新しい議論ではないですから、コメントからも問題なく受け入れられていることがわかると思います。
例えばTHTの「Batted Balls and DIPS」でも打球の種類ごとの得点価値が算出されていますが
ゴロ:0.076 内野フライ:-0.038 ライナー:0.217 外野フライ:0.256
といった具合になっています。フライをさらに分類すると内野フライは守備側にとって良い打球であることがわかります。
また、Baseball Times Vol.46ではゴロが安打になる確率は25.8%、非ゴロでは39.4%と示されています。
要はさまざまなデータがフライは怖いことを示していますよということで、これはこれまでの価値観で野球が行われたことの結果として起きていることなのでとにかくフライを打とうとするべきだとかいう話になるわけではありませんが(内野フライになったらむしろマイナスなのはわかっていますし)
無闇に「打ち上げるのは大雑把だ」とか「転がせば何かが起きる」といってフライを嫌う必要はないということは言えると思います。

これを選手評価の観点から見ると、投手はフライを打たせるよりはゴロを打たせるほうが安全だと見ることができますし(当然ゴロを打たせれば無条件で良いとかフライボールピッチャーはダメとかいうことではありません)
セイバーメトリクスは得点への貢献を重視しますから打者には長打力が重要になり、結果として高く評価される打者はどちらかといえばフライを打つ打者が多くなってきます。
FanGraphsのデータより、wOBA(打撃総合指標)とGB/FB(ゴロの多さを表す指標)の相関をとると、弱い負の相関関係がありました。
もちろん一概にGB/FBから何かが言えるわけではなくてゴロを打って内野安打にできる打者とできない打者、フライを打って本塁打にできる打者と弱いフライにしかならない打者等ありますから、その辺はタイプということになりますね。


BCS v UZR

2009年MLBでの、UZRとRF、およびUZRと当方の守備評価システム(BCS)との守備位置別相関係数。500イニング以上守備についた選手が対象で、RFは元々そうですがUZRとBCSもイニングで標準化してあります。

PosRF v UZRBCS v UZR
2B-0.074 0.277
3B0.584 0.473
SS0.291 0.406
LF0.441 0.530
CF0.511 0.498
RF0.689 0.654

低いとも見れることは確かだと思いますが、負け惜しみでなくゾーン評価はゾーンの区切りや打球の記録員の恣意によるノイズが多少はあるはずでゾーン評価同士も案外ガッチリ連関はしていないことを考えると
「これはこれ」として守備評価に用いることもそれほど絶望的ではないのかなぁと思ったりします。ゾーンがあればそのほうがいいですけど、ない場合の代用として、ジャンクではないのかなと(追記:記録方法に対する言い訳なしに純粋に代用として考えるとなると相関係数でせめて0.7~0.8ぐらいは欲しいところで、R2を考えると当然かなり厳しいです)。
ちなみに投手の左右補正は計算できてなくて、ちゃんとそこもやればもう少しは相関上がるはず。
一応ただのRFに比べて多少は改善されてますよって様子も出てますし(サンプルによって勝ったり負けたりは多少ありますが全体とすればやはり補正をしたほうがベターです)。
なお各守備位置のサンプルは30くらいなのでこのデータだけでは守備位置ごとの違い(右翼手には使えるけど二塁手にはあてにならないのか、とか)に注目するほどのものではないです。

WAR試算

Win Sharesに触発されて、というわけではないですが以前に書いたままになっていたネタを。

当方、サイトにおいてTotal Winという選手の総合評価を発表していますが、Total Winの算出法を考えてから実際に計算したときに気になったのは「野手に比べて投手の数字が伸びない」という点です。
例えば、歴史に残る大投手であると思われるダルビッシュ有のTotal Winは5.6程度。これはダルビッシュが5.6程度の勝利を生み出した(その分だけ貢献した)という意味です。
5.6は投手ではトップクラスの数字ですが、野手のトップの中村剛也は9.5で、かなり差があります。印象としては中村のほうがダルビッシュより1.7倍も貢献度が高いというのはあまりしっくりきません。

攻撃と守りをほぼ等価値(表裏一体のものだし、勝つには得点を増やすんでも失点を減らすんでもいいわけですから)と考えれば全体の貢献のうち半分は少なくとも攻撃を担う野手に行くことがわかりますし、守りにおいても守備は無視できない要素ですから何パーセントかを受け取るとすると、「攻撃&守りの一部」に貢献している野手と「守りの大部分(?)」だけに貢献している投手を比べると全体としては野手のほうが貢献が大きくなるのは自然です。
しかし打者の質が落ちることに比べて投手の質が落ちるということは試合の結果に直接的に大きな影響を及ぼしてしまうことが多いように思われ、質の良い投手というのは全体としての「平均的な貢献」という意味以上に価値があるとも考えられます。
そこの価値を捉えようとすると、選手を最低限レベルに取り替えた場合との比較(Above Replacement)、という基準が有用ではあるのかなぁと考えます。

以上の考えを経て、「とりあえずAbove Replacementを計算してみよう」と思い立ちました。
総合指標をAbove Replacementにできなかった決定的な要因に「リプレイスメントレベルを定義することが概念的にも技術的にも難しい」ということがあり、日本版の指標の構築というのは容易ではないため、リプレイスメントレベルに対する貢献度の算出法はFanGraphsが公開しているものを丸々利用することとします。
FanGraphsの総合指標(いわゆるWAR、Wins Above Replacement)における投手評価がどういうものかというとだいたい以下の通りです。

失点率スケールに直したFIPを使用して失点阻止能力を評価。
失点阻止を、リプレイスメントレベルに対してどれだけチームの勝利を増やしたかに変換。
先発とリリーフにはそれぞれ異なるリプレイスメントレベルを適用。
パークファクターによるFIPの補正、自身の投球による得点環境を考慮したRun-Winコンバート式を採用。

 参考:The Glossary

FIPは日本についても問題なく算出できるものですし、パークファクター等についても若干不安はありながらも一応計算は行えます。
先発とリリーフの分割に関しては公的なデータが得られないために全ての投手を先発として扱うこととしましたが、とりあえず参考にする数字を算出する上では問題ないと考えました。

というわけで2009年のパ・リーグ投手について算出してみた結果のリーダーズが以下です。

TeamPlayer WARTotal Win
L涌井 秀章 5.3 6.0
Fダルビッシュ 有 5.2 5.6
E田中 将大 5.1 5.7
H杉内 俊哉 4.8 5.6
Bs金子 千尋 4.4 5.1
M成瀬 善久 4.2 5.0
Bs岸田 護 4.0 4.6
L帆足 和幸 4.0 4.8
M唐川 侑己 3.3 4.0
E永井 怜 3.0 3.5

参考までに拙指標のTotal Winも。双方ともDIPSをベースに失点阻止を評価していますので傾向としてはほとんど同じです。
失点が飛躍的に増大すると思われるケースとの比較ではWARはもっと高く出る可能性もあるものと思っていましたが、そこまでではないようです。
問題の野手との比較ですが、リプレイスメントを基準とすると野手のTotal Win値は落ちて、今回対象としてリーグであればリーダーズの数字は投手と同じように5点台になるのではないかと思われます。そういう意味では、リプレイスメントの基準を導入すると取り替えた時に被害が大きいという投手の価値の特徴を表すことができると言えます。これは見方の問題でありどちらが良いか悪いかということは簡単には言えないと思いますが、リプレイスメントレベルの算定さえスッキリできるのであれば将来的には総合指標をAbove Replacementにするのもいいと思っています。マイナスの値とか気にしなくていいっていうのも楽ですし。



歴代捕手の盗塁阻止を得点化

城島のNPB復帰にあたって、考えてみればNPB時代の城島の守備指標ってどのレベルなんだろうなぁと気になって
私は古い記録を持っていなくて2005年からしか算出していないので道作さんの掲示板で質問してみたところ「優秀ですよ」とのお答えをいただきました。
今年からの活躍が楽しみです。

それで、歴代の捕手のことをぼんやり考えているときに
そういえば「野球記録あら?カルト」で久保さんが年度別個人盗塁阻止率を掲載して下さっているなぁということを思い出して
これがあれば(直近2年間の数字は出ていませんがそれは持っていますので)簡単にでよければ盗塁阻止に関してはRelative指標として自分でも歴代捕手をランク付けできるんじゃないかと考えました。



結論というか計算式から入ると

(盗塁阻止率-リーグ平均盗塁阻止率)×被盗塁企図数×0.63

今回の算出はこれです。
これで何が計れるかというと「同じ被盗塁企図数でリーグ平均の捕手が刺す数に比べて多く盗塁を阻止した分の得点価値」がわかります。
具体的には、仮に平均の阻止率が.330、ある捕手の阻止率が.430だとします。その捕手は10回盗塁を企図されるごとに平均に比べてひとつ多く盗塁を刺すので、この分に「盗塁を許す場合に比べて刺すことにより防ぐチームの失点数(統計的な研究から、0.63)」を与えます。
それで50回盗塁を企図されていたとすれば10回分の5倍ですから0.63×5で3.15というスコアになります。
要は「盗塁阻止能力でリーグ平均に比べて防いだ失点」です。
年度ごとにいちいちリーグ平均と比較して計算します。これは全ての選手を傑出度という同じ土俵に上げて比較するためで、RCAAなどと同じことです。
サイトで行っている捕手守備評価に比べて捕逸や失策が評価されませんし盗塁の企図自体を減らす努力などは反映されない欠点もありますが記録を眺める際に遊び感覚で算出する分には悪くないのではないかと思います。


通算で阻止した点数の歴代トップ5はこんな感じ。

古田 敦也 75.4
谷繁 元信 49.7
大矢 明彦 42.5
梨田 昌孝 38.9
城島 健司 36.9

想像に難くないことですが古田の圧倒的スコア。現役生活を通じて、盗塁を刺すことで平均に比べて75.4点も貢献してきたということです。
それでも1シーズンあたりにすると5点くらいで、得点数という意味では捕手の肩が莫大な影響を持つってことは意外とないんですが。
ただし単年の歴代ベストスコアは2000年古田の13.2。これを昨シーズンのRCAA換算で考えれば、平均的な打者を山崎武司に置き換えるぐらいの威力があったことを意味します。

現役の谷繁が2位ですが年齢を考えるとこの数字で古田を追い越すのは難しいか。
大矢・梨田の名捕手二人を挟んで、城島が下につけています。
ちなみにこの手の数字は積み上げ的な性格と率的な性格と両方あって、高い数字を出すにはある程度長くやる必要があるのですが未熟なうちに多く試合に出されたり能力が落ちてからもしぶとく現役をやっていたりすると数字が下がるという側面があります。
「全盛期10年の数字」とか出すのも面白いですよね。


その他気になった選手。

達川 光男 24.6
若菜 嘉晴 18.7
西山 秀二 14.5
田淵 幸一 12.0
伊東 勤  10.1

達川光男がこんなに良いとは知らなかった。西山秀二も、どうも晩年のイメージがあったので……
伊東勤は飛び抜けて高い阻止率のシーズンというのは特にないわけですが全盛期に「9年連続盗塁阻止率リーグ平均以上」をやるなど安定した仕事ぶり。

現役どころでは

矢野 輝弘 14.4
細川 亨  13.8
里崎 智也 13.3
阿部 慎之助 10.9
日高 剛   9.5

このあたりが実績を残しています。
谷繁なんかの長寿っぷりを考えると、細川・里崎あたりはもしかすると将来トップ5入りを狙えるかもしれません。
矢野は古田と盗塁を企図された数では同じくらいで、矢野だって優秀な捕手であることを考えると、それに対して60点も差をつけてしまった古田の異常さがよくわかると思います。


というわけで、お遊び感覚のスタッツでした。しかし自分が往年の選手を扱うのは珍しくて違和感あるなぁ。

 | HOME |  »

プロフィール

管理者:クロスケ

野球全般好きで、プロ野球をよく見ますが特定の球団のファンではありません。
セイバーメトリクス(野球の統計的分析)の話題が多く、馴染みのない方にはわかりにくい内容があるかもしれませんがサイトに体系的にまとめています。

Baseball Concrete



RSSフィード

最近の記事

最近のコメント

カテゴリー

月別アーカイブ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。