Baseball Concrete Blog

主にプロ野球について、セイバーメトリクス的な考えを交えながら好きなことを書いています。

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日本版・本格派セイバーアニュアル!


プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクス・リポート1


チームを勝利に導く貢献=得点を生み、失点を阻む選手は誰か?
アメリカ生まれの “数理統計学的野球論” セイバーメトリクス。
プロ野球の見方を変える、“新視点” からの分析レポート誕生!!

資金力差を知略で引っくり返し、躍進を果たしたメジャーリーグ指折りの貧乏球団の奇跡のドラマを描いたノンフィクション作品「マネーボール」。
小説・映画ともにヒット作となった同作品で紹介された、新しい野球理論「セイバーメトリクス」を用いて日本プロ野球を分析する。
日本でのセイバーメトリクスの研究の草分けとも言える分析愛好家たちが「統計学」「スポーツデータ分析」を駆使して挑む、新視点からのプロ野球分析レポート集。

[1]2012シーズン展望 パシフィックリーグ
[2]2012シーズン展望 セントラルリーグ
[3]COMMENTARY 評論
  ・「統一球に負けない打者」の条件他
[4]PROJECTION 成績予測
  ・岩隈久志、ダルビッシュ有らMLB移籍者、新外国人。
[5]HISTRY 歴史
  ・日本シリーズ 投手酷使の歴史、最高のベストナイン他
[6]ANALYSYS 分析
  ・年齢と成績の関係、再検証「送りバント」、「盗塁」
[7]セイバーメトリクスを用いた分析の基礎知識



告知です。
日本のセイバーメトリクス愛好家が集まって、アニュアル(年刊)本を作りました。
The Hardball TimesやBaseball Prospectusなどが出版しているアニュアルのように、昨年の成績、リーグ状況の分析、研究コラム、成績予測などディープなセイバーメトリクスの世界を堪能できる内容です。
ここまで思い切りセイバーメトリクス指向のアニュアルというのは、日本初と言っていいのではないかと思います。

私はプロ野球選手の成績が年齢の変化に伴ってどのように変化していく傾向にあるのかということについての解析をしたり、用語解説を書いたりしています。
その他の著者のラインアップについてはAmazon等で見ていただければ、お馴染みの方々で安心感を持っていただけるのではないでしょうか。

上品な人間はあまり己が制作に関わったものを露骨には売り込まないのかもしれませんが、今回ばかりはセイバーメトリクスに興味がある方には非常にオススメいたします。
というのも、編者の岡田さんらともアニュアルに関しては是非作りたいと以前から話していたところであり、内容的には制約を受けずに素直にやりたいことをやっているものだからです。
実は私もまだ全体を読んではおりませんので良いも悪いも言えない部分はあるのですが、セイバーメトリクスを啓蒙するために既存の研究成果を薄めて解説するだけ、あるいはWHIPやOPSがどうのと言ってセイバーメトリクスを扱った気分になるだけみたいなヌルいところで終わる書籍ではないということは間違いなく言えると思います。セイバーメトリクスの深い部分の面白さに触れていただけるのではないかと。
著者の方の中には時間的な都合等でご自身のウェブサイトなどをなかなか更新できない方もおり、書き下ろしの解析が読めるのは単純に希少な機会でもあります。

公正を期すために冷静なことも言っておきますと、もちろん米国の最先端の発行物と比較すればまだまだ差があると思われますし、守備関係のデータなどは不十分だったりもすると思います。
このあたりは単純に今回が初の試みであるため、必然的に課題は出て来るものでしょう。
ただ、繰り返しになりますが、それを差し引いてもオススメです。

3月10日発売予定、予約受付中です。


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外野守備における脚力の重要性

阪神の城島選手が外野守備の練習をしたことが報じられています。

阪神・城島が志願!外野もやる

本気かよ?というのはさておき、練習の動きを見たコーチの感想は、スタートなど動きがよくセンスがあるが「守備範囲は足の速さの通り」とのこと。
これ、セイバーメトリクス的には気になるところですね。
何故なら、セイバーメトリクスによって研究が進んでいる守備指標の結果を見ると、守備の良し悪しは単純な身体能力(特に外野守備であれば若さ・脚力)とかなり相関が強いように思われるからです。
つまり、グラブ捌きがいいなどの技術があっても、なんだかんだ言って奪ったアウトの多さを見れば足の速い選手が優秀で、そうでない選手は劣る傾向が強いということです(ただし、この傾向そのものについてはNPBでのデータ不足もあり私自身「脚力」と「守備範囲」をきちんと定義して調査はできていないのですが)。
どうも世間的な評価では、見た目の動きがとりあえず滑らかであれば「アウトを奪う頻度が少ない」という事実は見過ごされがちな傾向にあるようです。失策でなければ「野手が捕れなかった」というよりとりあえずは「ヒットを打たれた」となりますし。

ここで、外野守備における脚力の重要度を小学校の算数で考えてみます。本質的な図式を抽出するために物事を単純化しますがご了承を。
まず、脚力があるというのは足が速いということです。速いというのは、単位時間あたりに長い距離を移動できるということです(速さ=距離÷時間)。
そして守備範囲というものを打球が放たれてから落下までの時間で野手が移動できる範囲として、野手はどの方向へも一定の速度で移動できるとすると、守備範囲は脚力に依存する野手の(打球発生から落下までの間の)移動距離を半径とした円になります。
足が速いというのは要するに守備範囲である円の半径が長いということです。

そして円の面積はお馴染み「半径×半径×円周率」の式で求められます。
このことからわかる重要な点は、守備範囲は足の速さに単純に比例するのではなく、足の速さの二乗に比例するということです。
つまり、足が2倍速くなると守備範囲は2倍どころか4倍になります。足の速さの違いは守備範囲の広さには増幅されて反映されるわけです。
実際には前方に向かって走るときに比べて背走のときの速度は遅いといった違いがありますので守備範囲の形はきれいな円ではないと思いますが、その形がおよそ各選手について相似であれば、脚力の変化と守備範囲の変化との関係については同じ理屈が適用できます。

仮に打球の発生から落下までの間に移動できる距離(円の半径)が10の選手がいたとすれば、その選手の守備範囲の広さは314です。
これに対して移動距離(半径)が9の選手を考えてみると、10の選手との脚力の差はたかが0.9倍であり、普通に観察している分には見た目にはそれほどの差がないように思えるかもしれません。
しかし守備範囲を計算すると254で、314の0.81倍です。
もしこのことを脚力10の選手の0.81倍しかアウトが取れないと単純に考えるなら、脚力10の選手が年間に200のアウトを取るとした場合、獲得するアウト数には38もの差が生じます(言い方を換えると、それだけアウトにできた打球をヒットにしてしまうということです)。1つヒットが増えることに0.8点の価値があるとすると32点の失点増加であり、これは相当な数字です。

もちろん打球反応が良い、スタートが速いということも時間を長く使えるので足が速くなるのと同じように有効ではあるのですが、少なくともプロのレベルにおいてその部分の差は、移動距離が長くなって脚力による差がつきやすくなる外野守備の中で脚力の不利さを容易に覆すほど重要ではないのではないかと思います。
実際には脚力も今回計算したような単純な形で守備範囲に跳ね返るわけではないと思いますが、脚力の差が見た目にそれほど大きくなく重要でないように見えても守備範囲には思ったより大きな差があるかもしれないということです。
セイバーメトリクス的には、動きにセンスがあるからといっても、足が速くない選手に外野手をさせるのはおすすめできません(あくまで守備の話なので、守備のマイナスは承知した上で打撃で取り返せるから、といった判断は別の話です)。


捕手守備得点(2011年)

非常に今更で中途半端ですが、例年のように捕手の守備指標を算出したので載せます。
計算には守備イニング数が必要となりますが使用したイニング数は実際のデータではなく刺殺数に基づいてチームの捕手内で分配したもので、その推計守備イニングで300イニング以上の捕手を対象に掲載します。
(他の守備位置について算出しないのか、というのはとりあえず聞かないで下さい)

捕手の守備得点は、許盗塁・盗塁刺・捕逸・失策の多さをリーグの平均的な捕手と対比してそれに各事象に見合う得点の価値を加重したもので、「同じイニング数をリーグの平均的な捕手が守る場合に比べて何点分チームの失点を減らしたか」を表します。

過去数年のデータ:捕手守備評価



年度チーム選手試合数盗塁阻止捕逸失策守備得点
2011 F大野 奨太101 4.0 -0.1 1.6 5.4
2011 M里崎 智也104 1.6 1.0 0.7 3.3
2011 L銀仁朗122 3.5 0.0 -0.9 2.6
2011 F鶴岡 慎也75 1.6 -0.4 1.5 2.6
2011 Bs伊藤 光65 2.5 0.0 -0.8 1.6
2011 H細川 亨95 -1.5 0.3 2.5 1.3
2011 E嶋 基宏126 -0.2 -0.2 -1.8 -2.1
2011 H山崎 勝己86 -4.4 0.9 -1.0 -4.5
2011 Bs鈴木 郁洋89 -4.3 0.0 -0.7 -4.9



年度チーム選手試合数盗塁阻止捕逸失策守備得点
2011 G阿部 慎之助112 1.8 0.5 0.8 3.0
2011 T藤井 彰人98 0.8 0.8 0.4 2.0
2011 D谷繁 元信100 -0.2 0.7 0.8 1.4
2011 T城島 健司38 2.1 -0.6 -0.4 1.1
2011 S相川 亮二125 2.1 0.9 -2.1 1.0
2011 C石原 慶幸106 -0.3 -0.2 1.1 0.6
2011 B黒羽根 利規44 0.0 0.2 -0.9 -0.7
2011 C倉 義和51 -0.8 -1.2 0.6 -1.3
2011 B細山田 武史84 -3.1 0.1 0.9 -2.1



パ・リーグは適度に偏差がありますが(大野捕手の1位は初)セ・リーグは捕手の守備による差が非常に小さいシーズンだったようです。このシステムの癖もあると思いますが。


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管理者:クロスケ

野球全般好きで、プロ野球をよく見ますが特定の球団のファンではありません。
セイバーメトリクス(野球の統計的分析)の話題が多く、馴染みのない方にはわかりにくい内容があるかもしれませんがサイトに体系的にまとめています。

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