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主にプロ野球について、セイバーメトリクス的な考えを交えながら好きなことを書いています。

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打線シミュレーション計画 その4

意外と色々な方に見ていただいているようでビビっておりますがもう少し飽きるまでシミュレータネタ。


【強弱的でこぼこ戦力の分配】


今回は打線全体として同じような打撃成績でも個人の能力がでこぼこしているのと揃っているので何か違いがあるのかということについて軽く。
「日本プロ野球記録統計解析試案」の掲示板で道作さんが仰っていたことで、個人的にも気になるので試してみました。
手法としては極端な打撃成績を作り大まかに考えられるいくつかの打順パターンで並べてみてその結果から傾向を探る、ということでいきたいと思います。

まず3種類の架空の打者を作成。

選手打数 安打本塁打 四死球打率 長打率出塁率
400 138 15 50 .345 .524.415
400 109 12 40 .274 .416.338
400 74 8 27 .185 .281.235

中がちょうどセリーグの野手平均で、強は大体その1.25倍、弱は0.7倍くらいのパフォーマンスの打者です。
でもって 強×5+弱×4 の打線が戦力的に大体平均と釣り合うようになっています。
これで全体としては平均なのだけど個人個人の能力がばらついている状態、というのが一応生まれるかと思います。
差が極端すぎるかもしれませんが結果をわかりやすくするためですのでご了承下さい。

打線(打順)も4種類作ってみます。

打線1番 2番3番 4番5番 6番7番 8番9番
モデルA
モデルB
モデルC
モデルD

これらの違いがどうなるか。
モデルDに関してはどのようになるか前回まででわかっていますのでその結果を流用します。参考として。
モデルA~Cは保有している戦力としては全く同じです。
Aは弱い打者を下位に追いやることで強打者の打席数を増やし合理的に見えますが
Bのほうがどのイニングも確実に強打者に回るため安定して得点が取れるのではないかと考える向きもあるかもしれません。
Cは弱い打者に上位を任せることによって強打者の打席数を失い得点力が下がりそうです。

結果は……

打線得点率 標準偏差勝率 打率長打率 出塁率
モデルA4.64 3.17 .511 .274.417 .341
モデルB4.36 3.06 .483 .269.409 .334
モデルC4.40 3.04 .488 .265.403 .330
モデルD4.53 3.14 .500 .272.413 .338


Aが最強。
標準偏差は若干大きいように見えるかもしれませんが得点率からすれば妥当なところで、いずれの打線でもわずかな違いですので得点の安定度では特に差がないと言ったほうがいいでしょう。
そして多少チーム打撃成績自体が上下しています(ちなみにこの計算では犠飛が凡打として打数に含まれておりますので打率と長打率は少しだけ低めに出てます)。
尚、勝率というのはここでいうモデルDと対戦した場合の理論上の勝率です。

AとBは同じ戦力ながら140試合あたりで勝利が約4つも違います。
これは去年のXR WINで言えば高橋や青木を平均的な打者に入れ替えるぐらいのことですので
このような戦力を保有した場合にモデルBのような並べ方は絶対にやってはならないということになります。
今回ほど極端でなくても傾向は変わらないはずです。
戦力が平らなのとでこぼこなのとどちらがいいかというのはちょっと微妙ですね。
Aのように、偏り方によっては打順を上手く組むことで得点率自体を上げることが出来ますからその意味での有利さはありますが
勝利の効率という意味ではAもあくまで得点率に見込まれる分普通に勝っているに過ぎず、結果的に同じような得点率になるような構成だとしたらほぼ差はないでしょう。
平均的な打者が並ぶ打線でも、でこぼこして結果的に平均的な打線でも、大して違わないっていうのが正直なところです。
あ、一応言っておきますがこのパターンしか試していないのでこのように戦力がでこぼこな場合の最適打順がAかどうかはわかりません。

そして、弱い打者を優先するという一見愚行にも思えるCは微妙にBに勝る得点率を出しています。
実際打撃成績はBのほうが上なんですが得点はCが上、要するに
全体の打撃イベントに対して効率良く得点を上げている様子が伺えます。
これは「打線というのは弱い打者を挟まずに出来る限り強打者を集中させるべきだ」ということを示唆しています。
Bは特段安定して得点が取れる傾向もなく、イニングに対して安定的に強打者に回ってくるというよりは安定的に邪魔が入ってしまうという言い方が合っています。
強打者が出塁しても弱い打者がイニングを終わらせてしまい、打線が繋がるかは弱い打者がたまたま打つか否かに頼らざるを得ません。
「強打者が集中しすぎるとバランスが悪いので(?)繋ぎの打者を挟む」だとか「下位打線を強化するために上位から強打者を一人回す」というような考えは理論上は効率が悪いです。
逆に、例えば強打者を1番や2番に置くのに抵抗があるなら
「3番から8番までがダブルクリーンアップ状態ですね」なんていうのは一種理に適っています。
下手にばらけさせたり打順を気にしてパフォーマンスを落とすぐらいなら下位でもいいから強打者を集中させたほうが、得点チャンスを確実にものにすることができます。
もちろんこれら、戦術を全く無視した仮定ですけどね。


たった3パターンの比較でなんですがここから推測すると、強打者・劣る打者という二極的な分布の中では
強打者を集中させること、その際上位打順であることを重視するといいようです。
一見乱暴に見えるかもしれない先頭から強いやつを並べた打線が、結局は点が取れるし効率も悪くないんですね。
チームの総打撃成績よりも集中のほうが大事になる場合があるっていうのは前回の【長打か出塁か】より若干実践的な話かもしれません。
Cが得点率でBを上回るとは思っていませんでした。とても小さな差ですが。





【質的でこぼこ戦力の分配】


さて、ここまでの例の打者は優劣で分類することが可能でしたが
そうとは限らず特性が異なるという場合もあります。
極端に出塁に偏った打者と長打に偏った打者で見てみます。

選手打数 安打本塁打 四死球打率 長打率出塁率
長打君400 90 24 23 .226 .492.266
出塁君400 125 2 54 .312 .355.391

ちょっとこう見ると経験則的に、出塁君のほうが単純に優れた打者にも見えてしまうのですが
OPSやRCでは一応大体同じです(OPSでは長打君が高く、RCでは出塁君が高い)。
これも 出塁君×5+長打君×4 でチーム総成績が平均に近しくなるようになっています。
また3種類の打順を組んでみます。

打線1番 2番3番 4番5番 6番7番 8番9番
モデルE
モデルF
モデルG

今度こそサンドウィッチ型のFはバランスが良いようにも見えますし、Eは集中で一気に点が取れそうな気がしますし、Gは本塁打率を最大限活かせそうで、一応それぞれ長所がありそうと言えるような、よくわからないような。
結果は以下。

打線得点率 標準偏差勝率 打率長打率 出塁率
モデルE4.47 3.16 .492 .271.410 .338
モデルF4.50 3.15 .497 .270.414 .335
モデルG4.49 3.11 .496 .268.420 .332

この場合EやGの場合クセ、短所が強調されてしまうようです。
具体的にはEでは出塁はするけれども顕在化効率が悪く、Gでは確実に点を取る能力は持つものの早い段階でアウトを与えすぎて得点を制限してしまう。
Fのような配置にすればほどよくバランスがとれるわけですね。
しかしこういう「出塁型・長打型」の偏りの場合、強弱の偏りに比べるとそもそも打順によって大した差は生まれなさそうで、1番からどっちかの集団を連続させたりするのは好ましくないですが常識的に思いつく配置をすれば問題なさそうです。
ちなみに同じタイプの連続でも3~6番に長打君を並べるとかいうのはアリで、得点率を高めます。
その他細かい最適打順の追求はそれに特化したプログラムに頼ったほうがいいですね。

あとこの種のでこぼこは平らな戦力と比べてどうかですが、また微妙な話です。
さほど細かいフィックスまでしていないので若干打撃成績と得点率が低くなっていますが
んー、まぁ、変わらないのではないでしょうか。


もっと戦術や細かい要素、走塁なんかも含めて考えたらまた変わってくるかもしれませんが
単純な打撃に焦点を絞った理論上はやはり最適打順追求のためにパフォーマンスや重要な何かを犠牲にするのはわりに合わないと考えられます。
タイプ的なことを考えて総合指標で劣る者を起用したりするのは得策とは思えません。
モデルA・Bの得点率の違いは看過できませんが実際にはあそこまで偏ることはほぼないですよね。






【オマケ・出塁打線と長打打線の極端なモデル】


上記とその3のネタを合わせまして。
出塁寄りと長打寄りによる得点のばらつきの違いを極端な例で見てみます。
出塁偏重打線はさっきの出塁君で、長打偏重打線はさっきの長打君の強化バージョンです(打席あたりのRCがそんなに違わなくてもRC27で大差がつきますのでなんとなくで補正しています)。

打線得点率 標準偏差勝率 ヘンリー勝率打率 長打率出塁率
長打君改5.07 2.93 .567 .551.217 .570.258
出塁君4.96 3.56 .531 .541.310 .354.391

試合ごとの得点の標準偏差、はっきりと差が出ました。
単純に得失点差から勝率を導くヘンリー理論式では長打君改打線の勝利は出塁君打線に比べて140試合で1.4勝ほど多いだけですが、シミュレーション勝率では5勝ほどの上積みがあります。
まぁ、ある程度極端に出してみるとこのぐらい違うということで。



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管理者:クロスケ

野球全般好きで、プロ野球をよく見ますが特定の球団のファンではありません。
セイバーメトリクス(野球の統計的分析)の話題が多く、馴染みのない方にはわかりにくい内容があるかもしれませんがサイトに体系的にまとめています。

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