Baseball Concrete Blog

主にプロ野球について、セイバーメトリクス的な考えを交えながら好きなことを書いています。

打線シミュレーション計画 その5

相変わらずの駄文であるのに加え、なんか自分で気付かないおかしなところ見てそうで怖いんですが、一応せっかくやったので何かのネタにでもなればってことで上げます。


【走塁の影響力】

シミュレータを用いて走塁要素の変化による影響を検証することを試みます。

前提として第一に、ここでの「走塁能力」の定義については表面化しない付加的な要素を考慮せず、「安打など与えられたイベント間に効率良く余剰進塁を得る能力」とします。

第二に、走塁能力が素直に加算的に試合に影響するわけではないことを一応確認しておかなければなりません。
簡単に言えばいくらベースランニングが上手かろうと出塁しなければ意味がないってことです。
そのためシミュレータを稼動させる際にどのような打撃成績を入力するかということが問題になりますが、これまでの実験の流れを利用しやすいことを考えて「2007年セリーグ野手平均」の打席成績を使用します。
本当に足が速い状況を考えれば三塁打が増えたりだとか打撃成績自体が変化することが考えられますが、ここはあくまで第一に規定した通りの走塁能力についてだけ見るために打撃成績とは切り離して考えます。

第三に、盗塁、相手方のバッテリーエラー、走塁死だとかといった要素は話をややこしくしてしまうこともあり考慮しません。
走者として安打の間にどれだけ多く進むか、というふうなことだけに絞ります。

あと問題として、走塁に関するデータが意外と手に入りません。
すごい走者は並の走者に比べてどのようにどのくらいすごいのかということが少なくとも日本では定量的に表されていないような。
だからこそいくつかの例を作ってこの想定だったらどうなる、というのを調べてみるんですが、あまり現実に対してはっきりしたことを言える結果にならないことはご容赦を。
もしデータを細かく把握している方がいたら、そこから見れば遠まわしでくだらない内容になるかもしれません。


で、当方のシミュレータは走塁に関しては「状況××で打者が△△を打ったとき走者が余剰進塁を得る確率は○○パーセント」というふうに設定しています。
余剰進塁というのは打者が稼いだ塁打を上回る数の塁数分走者が進むことを指します。
その3以降使用した設定を再掲すると以下のような具合。

打線シミュレータ走塁設定

例えば1アウト二塁で単打を打った場合生還の確率は五分五分で、
ノーアウト一塁から二塁打では15%ほどしか帰れない、とか。※1
あまりデータが手に入らないこともあってこの設定が決定版だとは全く思わないのですが一応破綻した結果を生まないようにはなっています。
走塁の最大ということを考えるならばまずこれら設定のプラス方向を100%、マイナス方向を0%にすることが思いつきますが、ではそれが走塁の究極状態なのかというとそうとは思えなかったり、だからといってどこまで考慮すべきかわからなかったり、意外と走塁というのは扱いに困るものです。
まぁまずは、シミュレータで容易に試せる範囲の極端な例を色々な組み合わせで。
〔安打での余剰進塁〕〔凡打での余剰進塁〕〔併殺打〕で区切って打線全体について6パターン試すと以下のように。

 安打 凡打併殺 得点率
A ---- 6.39
B × 5.12
C ×× 3.93
D× ---- 5.22
E× × 3.70
F× ×× 2.73

安打○→安打関係の余剰進塁100%
凡打○→凡打関係の余剰進塁100%
併殺○→併殺打なし
安打×→安打関係の余剰進塁0%
凡打×→凡打関係の余剰進塁0%
併殺×→状況と凡打の条件が揃えば常に併殺


基本的には併殺打と凡打間の進塁をなしとして安打での余剰進塁だけいじったBとEがわかりやすいかもしれません。
5.1~3.7の変化。年間200点の差となります。
そして凡打で常にエクストラベースを得るか否かでの得点率の違いが凄まじいです。
これは言うまでもなく都合よく安打が出るよりも凡打になることのほうが多いため、かつ元々は凡打で進塁できる確率は高くないからです。
凡打が全て進塁打になるという時点で併殺打の設定は意味をなしませんので「凡打○かつ併殺×」というような組み合わせはありません。
ちなみに現実に合わせた(つもりの)進塁設定では得点率は4.5程度。


上記は非常に極端ですので、もう少しありえそうな範囲。
打線全体について、併殺打と凡打間の設定は普通通りで、安打での余剰進塁率だけ○倍にしてみました。

係数得点率 年間利得
2.0 4.86 51.20
1.5 4.73 32.07
1.0 4.50 0.00
2/3 4.33 -22.99
0.5 4.19 -43.42

得点率と、平均と比較しての140試合あたりの上積み得点。
ゴチャゴチャとMLBでのデータを見た感じからするとこれらでも十分ありえないだろう範囲なんですけどね。


個人がもたらす利得。
これはちょっとリアルにありそうですがどうなんでしょうか。
1番打者の進塁設定だけ○倍にした場合の結果。
ちょっと個人の走塁能力指定システムについては力を入れて作った部分ではなく自信がないので、「打順シミュレータ」をお借りして同じようなことを行った結果と、概算的な理論値を併記します。

係数自前シミュ 年間利得打順シミュ 年間利得理論値 年間利得
2.0 4.64 19.81 4.50 10.24 4.55 7.06
1.5 4.57 10.23 4.48 7.33 4.52 2.72
1.0 4.50 0.00 4.43 0.00 4.50 0.00
2/3 4.49 -1.42 4.41 -3.54 4.46 -4.52
0.5 4.47 -3.37 4.39 -5.43 4.45 -5.96

どうも自前のシミュレータだと遅くしても損失がなく速いときの利得が莫大なのですよね。
このあたり詰めなきゃいけないなと思いつつもいまひとつ掴めません。中身が見えないプログラム頼りの悪いところです。
まぁ大まかに言うと確率2倍なら10~20点とかのプラスになる様子。
ん~…ありえないかなぁやっぱり。
理論値とは何かというと、このシミュレータで言うところの走塁に差がつく場面(一塁に出ている時打者が単打を打ったケース、など)の数を数えさせて
そこから試合あたりに平均と比べて奪う塁の多さを計算しRun Valueで加重したものです。
ちなみに一塁に出ている時の単打、一塁に出ている時の二塁打、二塁に出ている時の単打の合計っていうのは一番打者について2試合に1回程度という計測結果でした。
この辺の計算となんとなくのデータから、優良走者と劣悪走者が安打間の余剰進塁によって出す損益は±10点程度なのではないかと睨んでいます。
最高の走者がもたらす利益は年間0.4勝だって何かの報告で読んだ気がするのですけどね。別の結果になりました。
単純に加算式で考えると、鈍足の打者でも15本とかホームランを多く打てば俊足の選手を負かすことができます。
結論的に言えそうなのは「最高の走者は年間1勝の利得をもたらす可能性がある」とかでしょうか。まぁ曖昧です。
これに加えて盗塁やその他の効果もあると考えると結構すごいってことになってしまうんですよね。
いずれにせよ、実際のところどうなのかが気になるので、詳細なデータが広く流通することを願います。



最後にまとめじゃないですが走塁とは何かを簡単に整理すると、長打と同じで出塁に対しての進塁能力なんですよね。
長打とスピードっていうのは同じこと(進塁)を違う手段で追求しているに過ぎません。
要はホームベースが近いほうが得点に有利だと。
長打は走塁能力の代替になるし走塁能力は長打の代替になるわけです(実現可能性を踏まえた戦略上ではなくただ単に仕組みの話です。また言うまでもなく、効き方は微妙に違います)。
改めて走塁のマックスを考えると「出塁成功の時、全て巧みな走塁で一気にホームインする状態(出塁は全てそのまま得点)」とでも言えるのかもしれませんが
これって結果を見たら出塁が全て本塁打であるのと同じことですもんね。
究極走塁能力チームに長打力アドバンテージは不要だし究極長打力チームに走塁能力アドバンテージが不要であることもわかります。

「あのチームは長打力はあるけど走れる選手がいないからダメ」といったような類の指摘をたまに見かけますが
そもそも要素として似たようなものですし同時に両方追い求めなければならない理由はありません。
それに本塁打を待つような打線の得点が不安定でないことは以前に触れた通りです。思い通りに点が取れないのはどの打線でも大差ありません。
“攻撃のバランス”のようなものはその辺の意味で言うなら僕は特に必要がないと思います。
打撃力があっても走塁が悪いとこんなにダメなのだ、ということについての説得力のあるデータにはお目にかかったことがありません。
マーケティング手法を用いて打線を意欲的に分析されたページ『史上最強打線とは何だ?』では選手ごとの打撃スタッツの偏りバランスを指摘しておられますが
そこで言うバランスの悪さの何がいけないのかというのがはっきり伝わってきませんし、そもそも打線にとってバランスの良い・悪いとは何なのだ、とも思ってしまいます。
攻撃の目的はあくまでも得点を上げることです。
得点が多いか少ないかが問題であって、攻撃手段(結果的に記録される項目)が偏ること自体に特別な問題はないと考えます。
むしろバランスなど不透明なものに捉われて肝心の得点力が疎かになることのほうが危険なのではないでしょうか。





※1……これらの設定、常に各走者それぞれについて正直に計算されるわけではなく
[一死二・三塁での凡打]→[三塁走者が進塁を得る場合二塁走者も確実に進塁]
[一・二塁での単打]→[一塁走者の三進はない]
など、該当するケース細かく挙げ切れはしないのですが(本当は挙げないとダメなのでしょうけど)簡略化というか特段の論理的な妥当性なしに割り切られている部分が多少あります。



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