Baseball Concrete Blog

主にプロ野球について、セイバーメトリクス的な考えを交えながら好きなことを書いています。

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Total WinとWin Share

前回のチーム別Total Winを出した記事で
「個人の利得をチーム別に合計することはチームとしての利得を出すこととは違う」ということを何気に言ったわけですが
これは総合評価で若干考え方が分かれる面白い部分なのでもう少し詳しく書いてみようかと。

まず前提知識として、総合評価メソッドとして有名なBill JamesのWin Shareは実際の勝利数を選手の成績に応じて分配する形式をとっています。従って、チームの勝利数とWin Share合計は必ず正確に一致します。80勝したチームなら貢献を集めれば80勝分になるだろうという考え方は、戦いの結果を重く見ておりわかりやすいものです。
それに対して私のTotal Winは全てのイベント(安打や奪三振などの働き)にリーグにおける平均的な価値を付与して、各選手を所属チームという文脈からは切り離して評価しています。それによりチームの合計Total Winと実際の勝利数は一致はしません。
何故この違いがあり、それが問題になるのでしょうか。


例えば。
シミュレータで、得点率4.00程度のチームの1番に出塁率99%の打者を置くと、チームの得点率は6.00ぐらいに跳ね上がります。
Batting Runs的に言えば、一試合あたり2点がその1番打者の出した利得なわけです。
では、その打者を9人集めて打線を組んだら 4+9*2 で得点率22になるでしょうか?
実際はそうではなく、2650点(!)くらいになります。
ほとんどアウトにならないやつが一人いても他の8人の出塁率は所詮.330程度なので得点率はそう伸びないけれども、全員がほぼアウトを与えない打者だと一向に攻撃が終わらず集中的に得点を上げることが可能になるわけです。
一種の「全体は部分の総和ではない」というやつですかね。

このときWin Share的な考えに沿って「チームとして2650点とったのは事実なのだから、9人で2650点分の貢献を分配すべきだ」とすると
一人あたり294点の得点創出になります。
しかし前述したように得点率4.00程度のごく標準的なチームに一人が加わっただけの場合、増える得点は2です。
平均的な4点の1/9の貢献を受け取るとしても全体で貢献は2.4点。
2.4点の場合と294点の場合と、出塁率99%の打者のやっていることは変わりません。仕事の内容は全く同じです。そして、2.4点と294点の差は「強打者と打線を組む」という選手間の関係において生じたものです。
その関係を生み出したことが誰の手柄かと言えば、編成の仕事なのか偶然なのかなんなのかは知りませんが選手個人のものではないだろうというのが私の考えです。
だから294点を打者に付与することはせず、特殊な状況は無視することにして全ての選手を仮定の上で「リーグの平均的な環境」において利得を算出しているわけです。

つまり、上記のモデルを例に考えた場合Win Share方式だと評価が他の打者に依存してしまう側面が生まれるわけです(それほど直接的に影響されるわけではありませんが)。
例を挙げて詳しく説明しようとすると思ったより冗長な文になってしまうということに気付いたので細かい話はこの辺にしますが
これは単に「全体は部分の総和ではな」くなるほんのひとつの例で、Total Winと実際の勝利数の乖離には他にも色々要因が考えられます。出塁率99%という極端な例を持ってきたのは、はっきり違う数字が出てくれたほうが説明するのにわかりやすいからというだけの話で、程度が変わっても話の中身が影響されることはありません。



これにWin Share的な立場から反論すると
選手の関係性の中で利得が生まれていくのも野球のひとつの重要な側面で、野球の勝利を研究しているくせに最終的には勝利数の結果を無視するのは勝利を追求した選手達への評価として貧相で無責任ではないかという言い方ができます。
指標で75勝と出たチームでも、結果として80勝していたらその5勝分無視していいのかよと。
このことは個人的には「宙に浮いた貢献問題」と呼んでいます(いや、こういうのを考えてた時期に年金関係でそういう言葉が盛んに言われてたから……)。
結果的な勝利を「答え」としてシェアするほうが、それが何かはわからなくとも野球の何か大切なものを漏らさず拾えるのではないかと。
それは見えない打線の繋がりだったりクラッチみたいなものだったりということが考えられます。

絶対的にどっちの考え方が正しいのかということは言うつもりありませんが
私としては前述のように見えないチーム力みたいなもの、選手の関係の中で生まれる利得はグラウンド上の特定の人間の手柄ではないから選手個人を評価する指標には含めないほうがいいという考えです。
それを踏まえた上で、別の視点としてWin Shareの考え方も魅力はあると思っています。
そういうことを見たいときにはそういうことを見られる指標を使えばよく、そういうことを見たくないときにはそういうことを見ない指標を使えばよく、要は単純な話、何を表したいかの違いということです。
どうも論点を整理して書けませんが「Total Win合計と実際の勝利数と多少違いが出るけどそれでいいんだ」ということの理由がなんとなくでも伝われば。


補足として、上記の内容は選手の評価がチームメイト等から受ける影響のある側面をカットするかどうかの話であって、Total Winの手法であればチームからの影響を完全に排除して選手個人を評価できるとか言いたいのではありません。
選手は常にチームの一員としてプレーしているわけですからTotal Win(や他の多くの指標)の素材となるあらゆる成績にはプレーする環境の影響が含まれていると考えるのが自然です。


コメント

出塁率9割(打率は0と想定)の打者が9人並んだ場合
1イニングあたりの得点は3(アウト数)÷(1.0-0.1)-3(アウト数)-3(想定される残塁)=24
1試合あたりの得点期待値は24×9=216点だと思います。
この打席のうちいくらかが安打、本塁打になったとしても
10~20点程度しか伸びないでしょう。

また2650点というのは少なくとも2650回以上出塁する必要があるのですが、アウトは27回しかできないので打席:アウトの数は99:1(=シュミレータは出塁率99%の場合の得点を出している)となり、想定している数値(出塁率90%)と誤差が見られます。

この誤差は、想定する数字を現実のものに近づけたとしても、少ないながら誤差が現れることを示しています。
打線シュミレータについてはもう少し練り直しが
必要なのではないでしょうか。

>aruki5さん

こんにちは。コメントありがとうございます。
申し訳ないですが出塁率9割の想定というのがここでどういう意味を持っているのか私にはよくわからないです。

あいや失礼。
どうやら見間違いだったようなので聞き流しておいてください。

>aruki5さん

了解です。
また何かお気付きの点があればご指摘いただければと思います。

宙に浮いた貢献問題で笑ってしまいました

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セイバーメトリクス(野球の統計的分析)の話題が多く、馴染みのない方にはわかりにくい内容があるかもしれませんがサイトに体系的にまとめています。

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