Baseball Concrete Blog

主にプロ野球について、セイバーメトリクス的な考えを交えながら好きなことを書いています。

Baseball's Statistical Revolution


Digital Eyes Will Chart Baseball’s Unseen Skills (NYTimes.com)

いまさらといえば物凄くいまさらなのですが(日本のスポーツ紙にも出たりしたみたいなので)、なんだかイヤ~な感じがしてたので現実逃避するかのように細かいことは調べずになんとなく逃げていました。
でも勉強しなきゃなと思ってとりあえずネットでいくつかの記事を読んでみると、これ想像以上に嫌なものですね。嫌っていうか純粋にすごいことを認めなくちゃならないんですけど。

取り上げられているのはFIELD f/xという最近MLBで導入する動きのとある解析システム。これは、各球場に専用のカメラとソフトウェアを備え付けて打球の速さ・位置などをはじめ守備者の動き・送球の軌道や走者の動きまで客観的かつ詳細に記録するシステムです。

たとえば守備の解析などで、これまでもUZRに使われているような打球の細かいデータというのはありました。しかしそれらは人為的に区切ったフィールドのうちどこに飛んだか、(打球速度が)速い・ふつう・遅いのどれに入るか、フライかライナーか、など一定の離散的なカテゴリーに押し込んで分類するしかなかったものです。しかも、その分類の作業は結局人間の手で行うためいくらかの恣意性や偏りも指摘されています(これは別に記録するスタッフがいい加減に作業をしているとかいう問題ではなくて)。
これに対してFIELD f/xの場合映像解析システムが客観的に連続する動きを捉えていくので、その捉え方は特定の分類に押し込む必要がないだけでなく非常に正確かつ詳細になるとされているようです。
こうなれば特に守備指標には抜本的な改善が生まれそうだし、フィールド上で発生している多くの物事についてこれまでになかった解析が進むかもしれません。

セイバーメトリクスのような研究はよく数字遊びで意味がないみたいな批判をされますが、これはうまく使えればあまりにも意味がありすぎてヤバいでしょう。客観化・数値化に賛成の自分でもちょっとひく。
米国の一線のメトリシャンたちもこれが野球の解析にとって本質的な革新であることを異口同音に認めているようです。
これは「進歩」とかいうよりはむしろ、これまでは評価したいことを数字から迂回して解析していたけれども、FIELD f/xはもともと評価したかったことを直接わしづかみにして捕まえますって感じですかね。
レンジファクターとか計算してるのがなんなんだ、っていう(だから嫌な感じしたんです)。

付け加えて言えば、業界の構造みたいなものも一層変えていくかもしれません。前々からセイバーメトリクスの一定の部分(部分とは言っても少なくない範囲)は理系の学位を持っているような人たちのクラブになるだろうなぁと思ってはいたのですが、このレベルのデータになるとますます生の情報では素人は扱えないものであり、それを解析して意味のある結果を導くには高度な技能を持った専門家が必要となります。当然MLBの球団は積極的に雇うでしょうし、最先端の解析結果はやはり一般のオーディエンスには開かれない形となるような気がします。ファンとデータの関係とかもちょっと変わるかもしれませんね。
MLBの球団経営はMBA(or Lawyer)のGM+理系のドクターでキレイに収まりそうですが、それはそれで効率的すぎる感じがしてなんだか……。

とりあえずTHTのAnnual買って勉強しないと。

コメント

うーん、私なんかは機械に出来ることは機械に任せておけ派ですが、どうなんでしょうねえ。
どこまでいってもデータと評価の間には解釈の入り込む余地はあるような気はしますけど、とりあえずは詳細を調べてみたくはなりますね。

>Sibierskiさん

まぁこれを導入したからってすぐに何がどうなるっていう魔法の道具ではないのは事実でしょうし、時間が経てば長所・短所、メリット・デメリットも冷静に見えてくるのでしょうね。
しかしこれがある世界とない世界とを比べるとかなりの断絶があるようには思えますし、ポテンシャルが高すぎてそのものの資産的な価値みたいなものが現時点で評価不能な感じが恐ろしいです。「解釈ができる人」の価値は今ものすごく上がってるんでしょう。
打球の速度・角度といった観点から投手や打者の評価にも結構使えてしまいそうな気がします。マネーボールに書かれていたAVMシステムの進化版みたいでもありますかね。

記事後半部分を繰り返させるようなコメントをして失礼。
確かに取扱いの難易度も規模もこれまでとは次元が違うでしょうねえ。位置関係と運動を評価の対象として組み込む体系を完成させれば、データの取扱いの難易度と相俟って守備評価を一元化させてしまうかも知れませんし。
評価のメソッドの組み立て方も気になります。打球に対する相対的な運動を類型化するとか、道作さんの言うように処理する打球の運動エネルギーの蓄積を見るのか。もっとありそうなんですよね。

>Sibierskiさん

正直私のほうも、わかっていることと言えば「よくわからないけどすごい」だけなのでそれをくり返すしかできないのです 笑
要勉強ですね。
早速このシステムを利用して「真の守備範囲」を指標化するようなことがデモンストレーションされているようですが……細かいことはわからないです。やり方としては、いくらでもありそうですよね。計算は素人にはできないでしょうが。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://bbalone.blog119.fc2.com/tb.php/464-901d316f

 | HOME | 

プロフィール

管理者:クロスケ

野球全般好きで、プロ野球をよく見ますが特定の球団のファンではありません。
セイバーメトリクス(野球の統計的分析)の話題が多く、馴染みのない方にはわかりにくい内容があるかもしれませんがサイトに体系的にまとめています。

Baseball Concrete



RSSフィード

最近の記事

最近のコメント

カテゴリー

月別アーカイブ