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2010年度総合評価 (その6)

守備編です。
守備をいかに評価するか、ということに関しては一応以前から取り組んでいる問題であり、基本的に守備位置ごとの評価は打球を処理する頻度の高さを守備位置の平均と対比させて評価をするということになります。また、捕手についても盗塁阻止などをベースにある程度評価はすることは可能です(捕手守備評価内野手守備評価外野手守備評価)。
問題は守備位置補正です。以下の議論はやや入り組んでいてわかりにくいかもしれませんがご了承ください。

守備位置補正をどう扱うか

守備位置補正の考え方についてざっくりみていきましょう。
遊撃手での+5と三塁手での+5は等価値に扱えません。おそらく、遊撃手で+5のレーティングを出す選手は三塁手として守った場合には+5を超える評価となるでしょう(必ずしもそうかはわかりませんが一般的には)。
したがって守備位置横断的に全体の評価を行なうには、この格差を定量的に表し補正をしてやる必要があります。
これに関して米国のWARで採用されている手法としては複数の守備位置を守った選手の守備評価から守備位置ごとの難易度を出し、各守備位置の価値を算出するものがあります。
たとえば遊撃手と三塁手の両方を守った選手のグループを見たときに、彼らが遊撃手として-2、三塁手として+3の評価であった場合、遊撃手の平均は三塁手の平均に比べて5点分難易度が高いものとして評価されます。このようにして全ての守備位置を比較していき、各守備位置の相対的な価値がわかれば、補正が行なえます。
遊撃手の補正値が+5であれば、平均的な野手(平均的な遊撃手、ではなく)が遊撃を守った場合には-5と仮想的にみなせるため、仮に遊撃手として0の評価でも野手全体と比較した場合には+5であると評価されます。
この手法は、守備位置間の評価の補正としてある程度適切なものだと私としても思います。

しかし、今回の総合評価では上記の補正の手法は採用しないことにします。理由は、NPBに関して実際に補正値を算出することが困難だからです。
困難とは何を指すかというと具体的には以下の2点があげられます。

・信頼のおける守備指標およびサンプルサイズが確保されない
MLBでは信頼のおかれる守備指標UZRのサンプルが多く確保できますが、日本ではこれを書いている時点の2011年前半で、やっと専門機関によるUZRが出始めたものの各選手についての詳細な数字は出ていないのに加えサンプルサイズが足りません。
代用的な守備指標を用いて計算をすることも可能でありある程度は意味を成すと思いますが、私の手元にあるデータは2005年から2010年までの6年分のデータに過ぎず、MLBに比べて球団数が少ないことも考え合わせるとサンプルサイズが少なくめちゃくちゃな結果が出てしまいかねません。複数の守備位置を守った選手という特殊な例に対象をしぼるためそもそも数が確保しにくいのです。

・算出法自体に技術的な困難性が多く恣意性を排除できない
サンプルが確保できたとしても、それをいかに計算し最終的な結果を出すかは難しい問題です。
そもそも複数の守備位置を守るという時点でそのサンプルは特殊な場合である可能性が高く、その時点でサンプルは守備位置ごとの難易度の違いそのものをうまく代表するものではないという懸念があります。外野手が故障を抱えたため一塁手で起用された場合など、守備位置そのものの影響以外でパフォーマンスが悪化することが考えられます。
そうなれば事情を上手く考慮して補正する必要があるのですが、どのようにその過程を行なうかについては客観的で明確な筋道を定めることが難しく、恣意性が介入することになります。

また、これは守備指標による補正を否定する理由ではなく別の話ですが、私は総合評価の守備位置補正として守備指標の補正だけをするのは若干片手落ちで理想的には打撃についても補正が必要だと考えております。
仮に守備位置を変えて守備指標の評価が変わらないとしても打撃指標は変化する可能性があり、それが傾向として出ているなら補正すべきだろうと思うからです。
理由はともかくとして、「平均的な野手」の打撃指標が仮に捕手を守った場合に低下するとしたら(たとえばOPS.730から.700に)、捕手でOPS.730を打つことは平均的な野手に比べてのアドバンテージをチームに与えていると評価できます。守備指標の変化に関わらずです。ですから私は守備位置補正には(理想的には)守備評価の補正に加えて攻撃評価の補正が必要だと考えます。

そして今回の総合評価でどういう補正をするのかというと、打撃指標を使った補正値という比較的伝統的な手法を用いたいと思います。
これは、たとえば一塁手の平均的なBatting Runsが+10であれば、一塁手の総合評価を10ポイント割り引くというものです。
この手法は守備の関係と直接的につながるものではないという大きな問題を抱えています。二塁手の打撃指標が-10だとしても、それは二塁手という守備位置の難易度に起因するのではなく、ただ単に二塁手を守っている選手が全体として打撃の能力に乏しいだけかもしれないからです。条件が異なるわけでなく単純に能力が低いだけの選手の評価を補正して持ち上げるなどというのはおかしな話です。
しかし守備位置を基準として打撃指標を分けた場合に評価に違いが出るというのは守備位置に起因する何らかの理由があると「推測」することも可能で、それを含めて打撃指標の数字を守備位置補正に用いることのメリットは以下のように挙げることができます。

・算出が容易である
打撃指標は(LWTSであれRCであれ)算出法が比較的固まっていて、あまり議論の余地がないため明確に計算できます。
また、サンプルサイズも守備指標に比べれば十分多く確保できます。
おそらく誰が計算しても結果はほとんど同じになるため、その意味では客観性があると言えます。

・守備の負担を何らかの形では反映しているだろうと推測される
もし守備位置ごとの難易度に全く違いがないのであれば、野球においてどの守備位置でも同じような打撃の結果となるのが自然でしょう。
しかし現実にはそうではありません。これは背理的に守備位置ごとの難易度の違いを示唆します(ただし、繰り返しですが打撃指標でそれを直接的に表せるわけでくそれが最大の問題です)。

・守備位置の打撃補正を含める可能性がある
打撃指標を使って補正値を求めることから、前述した議論の守備位置の打撃補正を含めることができる可能性があります。
ただし同じ選手同士を比較していくわけではないため「傾向としてその一部に含むだろう」程度の意味です。

・悪くても守備位置内傑出度として使える
守備指標は元々対象の守備位置における相対的な利得を表します。
そして打撃指標で補正を行なうと、総合評価は結果的に「守備位置平均に対する打撃の利得+守備位置平均に対する守備の利得」で対象の守備位置内での傑出度を表すものとなります。
野球は原則として全てのチームが同じように守備位置を割り振って試合を行なうことから守備位置内での傑出度チームに与える利得の考え方として重要であり、それは野手全体の貢献そのものを一次元的に、横断的に評価するものではなくてもまた別のものとして有用な評価となり得ます。各選手の守備位置内での傑出度を全体で比較することも、それ自体には問題はありません。左翼手として+10の選手と遊撃手として+5の選手は能力は後者のほうが上かもしれませんが、守備位置内での利得は前者が上である(と評価されている)こと自体は間違いないわけですから。

結果の数字は以前サイトで行なった守備位置別打撃成績の研究から、600打席(あるいは1280イニング)あたりでこうなります。

 捕手 +16
 一塁手 -12
 二塁手 +11
 三塁手 -3
 遊撃手 +4
 左翼手 -6
 中堅手 +2
 右翼手 -4
 DH -17

捕手でフル出場した選手であれば守備位置補正を除く総合評価値に16が加点されることになり、一塁手と三塁手が半々で出場した選手の場合には-12と-3の中間で-7.5の補正値となります。遊撃手でシーズンの半分程度出場した場合の補正値は+2です。

最後に、計算に必要な守備イニング数のデータは、2010年度分ついてはSMR Baseball Labで得られるためそれを参照します。
ただしDHのデータは得られないため、打席数に対して見込まれる一般的な守備イニング数と実際に守った守備イニング数を比較して後者が顕著に少ない場合には差分をDHでの出場イニングとみなすという手法をとります。つまり守らなかった守備イニング数を数えます。
平均的には1打席の出場に対して2.13の守備イニングが見込まれます。実際には打順の関係などでブレがありますので見込み守備イニングに比べて実際の守備イニングが200以上少ない場合のみDH出場として考慮することにします。


次回は具体的な計算を行いデータを掲載します。



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