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主にプロ野球について、セイバーメトリクス的な考えを交えながら好きなことを書いています。

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書籍:『9回裏無死1塁でバントはするな』

画像:9回裏無死1塁でバントはするな


まことしやかな「セオリー」は、本当に正しいか?
野球中継を見ていると、「9回裏ノーアウト・ランナー1塁、ここは手堅く送りバントでしょう」といった解説をよく聞く。
だが、統計学的な観点からは、送りバントは明らかに損な作戦である。
アナウンサーや解説者が、まことしやかに述べる「野球のセオリー」。しかし、それらの戦術やプレーには、果たして合理的な理由があるのだろうか。
こうした疑問に、統計学的な観点から答えようとするのが、本書で紹介する「セイバーメトリクス(野球統計学)」である。
従来の「勘」や「感覚」に支えられた常識を覆す意外な「真実」が、データから見えてくる。




発売直後に拝読していたのですが紹介が延び延びになってしまっていました。

本書はSMR Baseball Labにも寄稿している統計学者の鳥越規央さんが書かれた、セイバーメトリクスで「野球のセオリー」を検証するという内容の新書本です。
統計学者による著作といっても、「解説者の言説は果たして正しいのか?」という構えで野球ファンにとって馴染み深いさまざまなトピックが取り上げられており、また内容も難しい数式などはほぼ登場せず読みやすいものとなっています。
手が止まらずにサクサクと楽しめます。

個人的には取り上げられているトピックが多岐にわたり、また興味を惹くものが多いことが印象的でした。
書かれている解答を楽しむことができるのはもちろんのこと、ひとつの主題でも切り口は多数あり得ますし関連する事柄にも広がっていくため読者の側が自ら野球を考えていくためにも参考となり示唆を与えるものだと思います。

私のようなセイバーメトリクスジャンキー(?)にとってはライトすぎるように感じるのは事実ですし、書かれている解析やセイバーメトリクスの知見に関する記述に100%同意するものではありませんが(生意気ですみません)、複雑な内容を紙媒体におさめることの難しさもひとつにはあると思います。価格もリーズナブルですし、わかりやすく楽しめる点には工夫されていると感じました。
特に「第5章 あの名場面は統計学的に正しかったか?」で、かの日本シリーズ山井交代劇、江夏の21球などを取り上げているのは面白いです。
勝利確率を利用したその分析はよく「WPA is a story stat」と言われるその性質を見事に活用して、野球におけるドラマを数字で描写しています。

本書のトピックの多様さを知るには目次を見るのが有用だと思いますので、Amazonから引用して共有しておきます。



序章 野球のセオリーは本当か?――セイバーメトリクスで見えてくる「真実」
 データが覆した常識
 セイバーメトリクスはどのように活用されているか

第1章 9回裏無死1塁でバントをしてはいけない――攻撃編
1 1点差の9回裏ノーアウト1塁でバントをすべきか
 アウト1つの重みを考える/犠牲バントが有効なシチュエーションはあるか
2 「左打者には左投手」は本当に有効か
 左打者は本当に左投手が苦手?/中日落合監督の眼力
3 「バッティングカウント」はあるか?
4 たたきつけるバッティングはヒットを生みやすいか
5 「打点」では選手の得点能力は測れない
 得点能力との相関性が高い指標「OPS」/打撃以外の能力を反映させた「RC」と「XR」

第2章 失点は誰の責任か――守備編
1 先頭打者に四死球はヒットより悪いか?
2 2ストライク・ノーボールで本当に1球外すべきか
3 敬遠して次のバッターと勝負は良い作戦といえるか
4 エースにエースをぶつけるのは得策か
5 「失点」における投手の責任はどこまでか?――「防御率」の限界
 投手個人の能力を測る「DIPS」/出塁を許さない度合いを示す「WHIP」
6 「ゴールデングラブ賞」は本当に守備能力を評価しているか
 失点を減らす守備とは――「RF」/守備範囲をどれだけ処理できたか――「ZR」

第3章 日本とアメリカとの「常識」の違い
1 メジャーでヒットエンドランをしないのはなぜか
 「玉砕戦法」のヒットエンドラン/ヒットエンドランによる勝率の変化は
2 メジャーではキャッチャーの配球は評価されない?
 キャッチャーの地位を高めた野村克也/「配球」はセイバーメトリクスで評価できるか
3 「ホームランバッターは3番打者」はメジャーの常識か?
 日本では4番? メジャーは3番?/最強の打者は3番にすべきか、4番にすべきか

第4章 高校野球は「スポーツ」か? 「教育」か?――アマチュアとプロの違い
1 4割バッターにバントをさせる高校野球
2 1塁にヘッドスライディングをするべきか
3 2011年大卒ルーキー投手をセイバーメトリクスで比較する

第5章 あの名場面は統計学的に正しかったか?
1 パーフェクト試合目前で投手交替は是か非か?――中日落合監督の山井交代劇
 9回表に起こった悲鳴/投手交代は統計学的に見て正しい選択だったか
2 日本シリーズ3連敗の後の逆転劇をもたらしたもの――1989年巨人VS近鉄
 3連敗の後、4連勝で決着がつく確率は?/どのプレーが「流れを変えた」のか
3 千葉ロッテマリーンズが果たした「史上最大の下克上」とは?
 セ・リーグよりパ・リーグの方が強い?/3位千葉ロッテが日本シリーズに出場できる確率は?
4 「江夏の21球」をデータで読み解く




コメント

ご購読御礼

SMR Baseball Lab ではお世話になってます.
拙著をご紹介いただき感謝です.
今回は入門書ということで執筆させていただきました.
ご購読いただいた皆様に,データを通じて野球を見る楽しさが伝われば幸いです.
今後ともよろしくお願い致します.

>鳥越規央さん

わざわざお越しくださりありがとうございます。生意気な紹介で恐れ入ります。
私のように学術的な知見から縁の遠い人間からしますと統計学の先生がセイバーメトリクスに取り組んでくださっているというだけで希望が持てますし
今後も著作やコラムなど楽しみにさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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管理者:クロスケ

野球全般好きで、プロ野球をよく見ますが特定の球団のファンではありません。
セイバーメトリクス(野球の統計的分析)の話題が多く、馴染みのない方にはわかりにくい内容があるかもしれませんがサイトに体系的にまとめています。

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