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主にプロ野球について、セイバーメトリクス的な考えを交えながら好きなことを書いています。

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WAR(Wins Above Replacement)とは何か

どうも前々から、サイトに「WAR」で検索して来る方が多いようなので、あまりしていないサイトの更新のアリバイ作りもかねて概説を書いてみました。→WAR(Wins Above Replacement)とは何か
Wikipediaで執筆もされているようですし他にウェブ上で解説もあるんですが、考えてみれば自分でまとまった説明を書いていなかったなぁと。

とりあえずブログのほうにも載せておきますが、そのうち(いつになるかわかりませんが)サイトのほうでFanGraphsをモデルとして算出方法の詳しい説明を加えたいと思っています。今はまだ概説。



1.WARの概念

 WARとは打撃・走塁・守備・投球といった野球におけるあらゆるフィールド上のプレーを統計的に評価し選手の総合的な貢献度を表す指標です。Wins Above Replacementを日本語訳すれば「勝利数代替水準対比」といったところでしょうか。すなわち、WARは選手のプレーを「同じ出場分を最小のコストで代替可能な選手を出場させる場合に比べてどれだけチームの勝利数を増やしたか」という尺度で評価します。

 従来、例えばRCでは、打者同士を比較することは可能です。また、FIPによって投手同士を比較することもできます。しかし、RCが87の打者とFIPが3.28の投手のどちらがすごいのかといったことは比較できません。WARの最大の特徴は、これらの評価を統合して、打撃に特化した選手であろうが、守備に特化した選手であろうが、投手であろうが、全ての選手を同じ土俵で比較できるようにした「総合評価指標」であるところです。ある意味では、数多くの指標を生み出してきたセイバーメトリクスにおける究極の指標であると言うこともできるでしょう。例えば、ある打者のWARが5.4であり、ある投手のWARが3.1だった場合には、打者のほうがチームの勝利を増やすのに貢献したと簡単に判断することができます。

 では、WARはどのように計算されるのでしょうか。実のところ、WARというのは定まった方法で算出されているひとつの指標というわけではありません。WARとは指標の名前でもありますが概念・枠組みの名前でもあり、研究機関によって複数のWARが提唱、公表されています。WARの算出・公開をしている機関として代表的なものはFanGraphsとBaseball Referenceです。いずれも米国のサイトであり、MLBの選手を対象にして算出が行われています。残念ながら、2012年1月現在私の知る限りでは、日本プロ野球を対象としたWARの算出は行われておりません。


2.算出の概要

 WARの一般的な枠組みは「攻撃評価+守備評価+守備位置補正+投球評価+代替水準対比価値」です。そしてプレーの価値の量的な測定は、基本的に対象の選手による働きがチームの得点及び失点の増減にどのような影響を与えたかという観点によって行われます。

 例えば四球はチームの得点を平均的に0.3点程度増加させ、本塁打は1.4点程度増加させます(このような数値は統計データによって明らかとなります)。これらの数値に基づいて各選手の責任範囲のプレー、すなわち打者であれば打席の結果を点数化していきます。守備に関してはどれだけ打球をアウトにしたか等をこれまた得点の価値によって評価します。投手についても被打撃成績を得点化する評価を行うのですが、守備の影響によって有利不利が生じないようにこれを調整する措置が施されます。各種の数値には、球場の影響などについての補正も適宜行われます。また、守備についてもあらゆる守備位置の選手を同じように比較することが可能となるよう守備位置ごとに調整値が与えられます。

 最終的にそれぞれの働きの得点の価値を、最低年俸レベルの選手が出場した場合に生産するであろう評価と比較して、対象の選手が生み出した余剰の価値を割り出し総合します。これを得点数から勝利数に換算したものがWARの最終値となります。

 少し知識がある人向けに簡単に言いますと、FanGraphsのWARにおいては、打者はwOBAを基に評価、守備はUZRを基に評価、投手はFIPを基に評価されます。それぞれ得点の単位に結びついた指標ですので、単位あたりの代替水準選手との差をとって出場機会を乗算すればWARとなっていきます。

 WARは総合評価ですので、打撃だけ、守備だけなど特化した働きでは必ずしも優れた数値を残すことはできません。まさしく総合力に優れている選手が高いWARとなります。また、投手と打者も「その選手が出場したことによるチームの勝利数の増加」という同一の尺度によって定量的に適切に比較されます。


3.WARの活用方法

 WARの活用方法としてまず思い浮かぶのは、MVPの選定や年俸の査定といったとにかく「その年の実績」を評価する場面でしょう。野球チームにとって一義的に最も重要なのは勝利数という要素である以上、それに最も貢献した選手がMVPに選ばれる、あるいは最も多くの報酬を受けるというのは自然です。もちろんWARが選手の働きを本当に完全に評価するものであるとはなかなか言い切れないので、WARの数値の通りに年俸(MVP)が決定されるべきというわけではありません。しかし、おおいに参考にはできるはずです。

 また、通算のWARを取り上げて、殿堂入りに誰がふさわしいか、歴代で最も優れた選手は誰か、といったファンの議論の材料とするにも適しています。

 一方で、選手の潜在的な能力を推し量ったり将来を予測したりするためのものとしては必ずしも適していません。多く本塁打を打ち高いWARを残したとしても、それはその年たまたま調子が良かっただけかもしれないからです。WARは潜在的な能力を測ろうとしているのではなく、選手による結果的なパフォーマンス、貢献度を測る指標です。

 ちなみに算出法にもよりますがWARは平均的な打者ではだいたい2.0程度になります。これは平均的な選手と代替水準の選手の、年間における差です。一方特に優れたMVPクラスの選手では10前後になることもあります。
 WARの値がマイナスとなる場合、理論上は最低レベルの選手を出場させたほうがよかった、ということになります。ただしマイナスのWARというのは出場機会が少ないことによる数字のブレの場合が多いです。



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野球全般好きで、プロ野球をよく見ますが特定の球団のファンではありません。
セイバーメトリクス(野球の統計的分析)の話題が多く、馴染みのない方にはわかりにくい内容があるかもしれませんがサイトに体系的にまとめています。

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