Baseball Concrete Blog

主にプロ野球について、セイバーメトリクス的な考えを交えながら好きなことを書いています。

FIPの係数の意味とは


膨大なデータの海から、プロ野球の真実を探る。~セイバーメトリクス入門書への提言~


セイバーメトリクス・リポートを取り上げていただいております。
手厳しいご指摘というか提言もしていただいておりますが、ここではその点は有り難く受け取っておくということに留めまして(取り上げられるということ自体がとても有り難いことですね)、記事中に触れられているFIPにつきまして。

上記の記事を読んで「確かにFIPの係数ってなんなんだろう?」と気になった方もおられるかと思いますので、一応情報をアナウンスしておきます。

 (FIPの計算式)
 FIP=(13×被本塁打+3×(与四球+与死球-故意四球)-2×奪三振)/投球回+定数


まず、FIPは「守備の影響から独立した防御率」を計算する指標です。

通常の防御率は「自責点」によって計算されますが、これは失策の影響を除いてその投手が登板している間にチームが失った点数であり、守備の(失策に表れない)まずいプレーやまた逆にファインプレーなども要因として含んだ結果のものです。

FIPはそこから守備の影響を回避するため、野手の関与しない結果から防御率を計算しよう、という発想をとります。その野手の関与しない結果というのが被本塁打・与四球・奪三振です。

ただし単に各投手の被本塁打・与四球・奪三振の数を見ても、それが防御率としてどのくらいの評価に値するかはなかなかわかりませんし、したがって客観的に優劣の判断を下すこともできません。
そこで、被本塁打・与四球・奪三振の数に点数(野球における「得点(失点)」の単位)を加重して防御率に変換する過程が必要になります。

例えば被本塁打を一本打たれると平均的にどれだけ失点が増加するか(逆に言うと攻撃側の得点が増加するか)、といったことは統計的な分析によって算出することが可能です。具体的には平均的に見込まれる得点数に対する増減という形で算出され、被本塁打に大きな加重(13という係数)がかかっていたり、奪三振にマイナスの加重がかかっていたりするのはそのような得点数への影響を表しています。

つまり、FIPは投手を「野手の関与しない被本塁打・与四球・奪三振という結果だけから評価したい」という前提がまずあって、最終的に評価を防御率の形で表すために各項目に点数の意味での重みを与えているわけです。これがFIPの係数の意味です。

係数の大きさは単に失点に与える影響の大きさを統計的に測ったもので、「本塁打を打たれるというのはとても良くないことだから大きく罰する必要がある」とか「本塁打を防げないのは能力がない証拠」とかそういう価値判断とは関係がありません(結果としてそのような評価がなされるとしても)。

事象に得点の重みを与えるという考え方については拙サイトの「基本的な考え方」における「得点期待値」の項を、具体的なFIPの係数の導出過程については「DIPS再考」の中の「4.実用スタッツFIP」を見ていただけると筋道がわかるかと思います。
また、FIPはMLBを前提に開発された指標ですがそれがNPBに合うのかということも以前に簡単に検討しております(FIPの日本版係数)。

セイバーメトリクスの選手評価においては様々なプレーを客観的にひとつの単位(得点や勝利)に換算して統一的に評価しよう、という考え方が大きな基本としてあります。それについてはFIPだけでなくwOBAやUZRなども同じで、得点期待値という考え方がカギとして機能しています。「要するに個人の責任範囲のプレーを明確化したうえで、得点期待値の変化を使ってそのプレーを得点化してるんだ」と考えていただければ、現在主流で使われている多くの指標について統一的に理解ができるのではないかと思います。

ご参考までに。

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野球全般好きで、プロ野球をよく見ますが特定の球団のファンではありません。
セイバーメトリクス(野球の統計的分析)の話題が多く、馴染みのない方にはわかりにくい内容があるかもしれませんがサイトに体系的にまとめています。

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