Baseball Concrete Blog

主にプロ野球について、セイバーメトリクス的な考えを交えながら好きなことを書いています。

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日常的体験としてのセイバーメトリクス

もっと早く書きたかったのが遅れてしまったのですが、個人的な『セイバーメトリクス・マガジン1』の感想。
先月書いた記事は発行側としての情報提供で、これから書くのは単なるセイバーメトリクス好きとして当該書籍を読んだ感想です(といっても、褒めれば宣伝と思われてはしまうのでしょうが、セイバーメトリクス好きとしてその関係の本が出れば嬉しくなってしまうのは抗い難い自然な過程なので見苦しいかもしれませんがその点ご理解いただけると幸いです)。

『マガジン1』の内容的な説明はDELTA OFFICIAL WEB SITE等をご覧いただくとして、ここでは省略します。

それで、私はこの書籍の企画から関わったというわけではなく企画がある上で原稿のご依頼をいただいて参加したという形でした。それで説明は聞いたものの本自体が全体としてどういうものになるのかの詳細なところは、やはり手に取ってみるまでははっきりとはわかりませんでした。

セイバーメトリクスのマニアではないけれども少し興味はある、くらいの読者を対象に『セイバーメトリクス・リポート1』よりはライトな内容をやるのかな?くらいに漠然と考えていた感じです。

セイバーメトリクスは一見小難しく取っ付きにくいものなので、普及のためのそういう「ライトな」試みは様々な媒体でわりと存在します。そして、そういった試みは、確かに意義があるのですが私のようなそこそこのセイバー・ゾンビには楽しむところがなかったりします。

しかし『マガジン1』については、たしかに比較的ライトな仕上がりでありながら、読んでいるうちに「あぁ、自分はこの本が好きだ」と感じました。別にセイバーメトリクスについてコアな内容ががっつり書いてあるわけではないのに、です。

参加している人間の贔屓目ではないかと言われてしまえばそれまでかもしれませんが、好きだと思ったことには確かな理由があることに徐々に気付いてきました。その理由というのは、『マガジン1』はセイバーメトリクスそのものをガツガツ掘り下げている本ではないけれども、当たり前のようにセイバーメトリクスの視点を使って野球を語っている本であることです。

例えばシーズンの振り返り。一般的なメディアであれば数字としてはチームの打率や防御率を挙げ、印象的だった試合や技術論、裏側の感動的なストーリー、チーム内の人間ドラマなどに焦点を当てます。しかし『マガジン1』では、当たり前のように得点・失点というチームの勝敗に直結する構造的な観点を基本とし、選手の貢献度についても「打率」という勝敗との関連が弱い指標ではなく各選手がどれだけチームの得点を増やし、失点を減らしたかをエビデンスに基づいて客観的に評価する視点を持っています。

こういう語り口は私のようなセイバーメトリクス好きにはある意味「これが普通」だと感じるものなのですが、『マガジン1』を読んではじめて、その普通の体験をする機会がこれまでいかに乏しかったかを実感しました。そして同時に、当然のように自分が納得できる視点で野球を語っているのを読めることに幸福感を覚えました。

セイバーメトリクスをマニアックに掘り下げるのではなく、セイバーメトリクスを薄めて紹介するのでもなく、「普通に」セイバーメトリクスの視点に立って野球を語る。こういう本は、あるようでなかったものでした。それが1,000円で気軽に手に取れるというのは、これまでの出版物とは体験としての意味が違います(そういう意味では書店に並んでいないのは残念かもしれませんが)。

セイバーメトリクスというと難解な横文字の指標を解読したり、大量の数字と向き合って高度な分析をしたり、深い真理を追い求め分析を重ねて議論をする……といったイメージがあるかもしれませんし、そういった活動はすごく魅力的で意味があることはたしかです。

しかしセイバーメトリクスを楽しむ仕方はそれだけではなく、むしろもっと気軽な日常言語として当たり前にセイバーメトリクスの視点を持つということの意義は大きいのだと思います。

単なる印象で語るだけではなく事実を確認してわかることは事実にあたる、意味のない数字ではなく確認したいことに論理的に繋がった数字を見る。こういったことは特に難しいことではないですが、それこそがセイバーメトリクスの本質で、小難しい分析はあくまでも応用なのかもしれません。

『マガジン1』は当たり前にそのような視点で野球を見る体験ができる本であり、やはりこれからどんどんこういったふうに語れるようになっていって欲しい(そういう言説が聞きたい)、というのが読後に何より思ったことでした。

誤解のないよう念の為言っておきますが、私は別に既存の野球の語り口よりこちらが正しいとか、全てがこれに置き換わるべきと主張しているのではありません。そうではなく、野球の人間ドラマや技術論が面白いように、客観的な分析の視点から野球を語るのも面白いのです。そして、その観点から野球を語ったものがこれまであまりにも無かったからもっと出て来てほしい、ということです。

もっとカジュアルにセイバーメトリクスが語られて欲しいという意味では、書籍だけでなくフリーで読めるサイト更新なども頑張らねばと思うところなのですが……なかなかできておらず、なんとか頑張りたいところです。


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管理者:クロスケ

野球全般好きで、プロ野球をよく見ますが特定の球団のファンではありません。
セイバーメトリクス(野球の統計的分析)の話題が多く、馴染みのない方にはわかりにくい内容があるかもしれませんがサイトに体系的にまとめています。

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