Baseball Concrete Blog

主にプロ野球について、セイバーメトリクス的な考えを交えながら好きなことを書いています。

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捕手守備得点(2011年)

非常に今更で中途半端ですが、例年のように捕手の守備指標を算出したので載せます。
計算には守備イニング数が必要となりますが使用したイニング数は実際のデータではなく刺殺数に基づいてチームの捕手内で分配したもので、その推計守備イニングで300イニング以上の捕手を対象に掲載します。
(他の守備位置について算出しないのか、というのはとりあえず聞かないで下さい)

捕手の守備得点は、許盗塁・盗塁刺・捕逸・失策の多さをリーグの平均的な捕手と対比してそれに各事象に見合う得点の価値を加重したもので、「同じイニング数をリーグの平均的な捕手が守る場合に比べて何点分チームの失点を減らしたか」を表します。

過去数年のデータ:捕手守備評価



年度チーム選手試合数盗塁阻止捕逸失策守備得点
2011 F大野 奨太101 4.0 -0.1 1.6 5.4
2011 M里崎 智也104 1.6 1.0 0.7 3.3
2011 L銀仁朗122 3.5 0.0 -0.9 2.6
2011 F鶴岡 慎也75 1.6 -0.4 1.5 2.6
2011 Bs伊藤 光65 2.5 0.0 -0.8 1.6
2011 H細川 亨95 -1.5 0.3 2.5 1.3
2011 E嶋 基宏126 -0.2 -0.2 -1.8 -2.1
2011 H山崎 勝己86 -4.4 0.9 -1.0 -4.5
2011 Bs鈴木 郁洋89 -4.3 0.0 -0.7 -4.9



年度チーム選手試合数盗塁阻止捕逸失策守備得点
2011 G阿部 慎之助112 1.8 0.5 0.8 3.0
2011 T藤井 彰人98 0.8 0.8 0.4 2.0
2011 D谷繁 元信100 -0.2 0.7 0.8 1.4
2011 T城島 健司38 2.1 -0.6 -0.4 1.1
2011 S相川 亮二125 2.1 0.9 -2.1 1.0
2011 C石原 慶幸106 -0.3 -0.2 1.1 0.6
2011 B黒羽根 利規44 0.0 0.2 -0.9 -0.7
2011 C倉 義和51 -0.8 -1.2 0.6 -1.3
2011 B細山田 武史84 -3.1 0.1 0.9 -2.1



パ・リーグは適度に偏差がありますが(大野捕手の1位は初)セ・リーグは捕手の守備による差が非常に小さいシーズンだったようです。このシステムの癖もあると思いますが。


Getting defensive (THT)


Getting defensive (THT)

最近THTの新しい記事を追えていなかったのですが
Tangotigerがwell-writtenと評しているので読んでみると本当にwell-written。

打撃の評価は簡単で、投手の評価も比較的簡単なのに、守備の評価はやたらに難しい。
これはなんなんだ、ということで、学説史的にさまざまな指標を紹介しつつ要点をサマライズしています。
守備率を除いて最初に出てきたのはRange Factorなど個別の要素を踏まえない総計のデータ(補殺とかが該当)による指標で、その後ひとつひとつの打球の内容を集計するというZone Ratingが出てきた、というところまではまぁお馴染みの説明。
そしてそこからUZRなどの指標にも疑問はあるんじゃないのかということを掘り下げ、興味深いことにUZR以後に開発された守備指標のいくつかはデータの細かさという意味では後退している(あえてそういうものを開発している)、ということに注目しています。
集められた「詳細なデータ」に問題が含まれていることが考えられるならむしろ、長期的にデータを扱うことを覚悟すれば一般的な総計データのほうが客観的で有用なのではないかという観点でしょう。
しかしまた、そうは言ってもそれってどうなん、ということでさらに上の次元としてFieldf/xがもたらす革新の可能性に言及しています。


ちなみに冒頭のあたりに「私たちが本当に知りたいことは、(守備の)機会に対して誰が最も多くのプレーを成立させたかということだけである。問題は、いくつの守備プレーを成立させたかはわかるのに選手個々の機会の正確な測定ができないことだ」みたいなことが書いてあるのですがこれは本当に守備指標について語るときにまず認識しておくべき問いだと思います。打率の計算に喩えて言えば、安打数はわかるのに打数がわからないという状況に置かれている。

この前Baseball Labに守備指標の記事を書いたとき、指標の説明に関して「BIPを使用するとRFの欠点が改善される、ゴロ/フライも考慮することでさらに精度アップ」といった「RFからの改善」の視点に重点を置いて書こうかとも考えたのですが、結局のところそれは手段の問題であり、より根本的に重要なのは守備において利得が生まれる構造だと考えてどちらかと言えばそちらを尊重する書き方にしました。
その意味をわかりやすく説明できたとは言い難いし、結果として、完成した指標によってRFの問題点がどのように解決したのかという部分もわかりにくくなってしまったのですが、まぁこれはこれでひとつの筋なのではないかと考えております。

なお一応言っておくと、守備機会の推定でBIP(インプレー打球)をベースとすることによって「投手の奪三振能力に左右される」という欠点を埋め、被安打の概念も導入。さらに内野手はゴロ・外野手はフライに対象打球を絞ることによりゴロ/フライ傾向の偏りに対応、かつそれは直接集計されたデータなので推定をして計算するRRFよりも精度が高いはずだし何より筋道が通ります。右/左補正に関しては本質的にはRRFと相違なし。
そんなこんなで全体的にはRRFよりもすっきりして良いのではないかと考えておりますがまぁその辺の最終的な判断は指標を利用するみなさんにお任せします。

THTの記事の話に戻りますが、引用も豊富で勉強になりますよね。保存版の記事かもしれません。
こんなこと言及する必要もないんでしょうが、出している情報の少なくとも3倍や5倍は知識を持ってないとこれだけ書けないだろうから素直に尊敬するなぁと思ったり。

日本版UZR(2009)


日本版Ultimate Zone Rating(UZR)プロトタイプ (Baseball Lab)

日本では今まで出てこなかったUZR、今年の分の集計はまだのようですが、コンセプトの説明と2009年のポジションごとの成績が公開されています。
アジャストメントの類もMLBで発表されているものに比べるとまだ整備されていないところもあるようですが日本でゾーンのデータが見られるのなんて10年先かもと思っていたところもあるので、それが出ているだけでも素晴らしいと言うべきでしょう。

ちなみに、仮に今後日本でゾーンのデータが完備されても当方がサイトで出しているようなレンジの数字の公開も当面は続けたいと思っています。私としては、性質の違いもさることながらできるだけ公式記録から「誰でも計算して確認できる」数字があることも大事だと思っているので。まぁ、基本的に有用性はゾーンですけど。

MLB・プラスマイナスシステムの数字

以前から成長が激しいFanGraphsが数日前にまたクレイジーな仕事をしてくれたので
忘れないうちに紹介しておきます。

その仕事というのは選手の成績ページにプラスマイナスシステム(Defensive Runs Saved)の数字を追加したこと。
元々掲載していたUZRにとって代わったのではなくて、両取りです。
両者に比べれば簡易版ですが人気のあるRZRなども掲載していて、なんというかまぁ単純に素晴らしいと言えるでしょう。
イチローや松井秀喜の数字など、UZRと比べるとなかなか面白いですよ。

そんなこんなで早速UZRとDRSの数字の全体的な比較なども行われているようです。
そしてこれはかねてから報告されているように、確かによく相関していると見ることができるのですが
例えば相関係数で表すと0.8前後になり、「ゾーンシステムを導入すれば守備力の実態の答えに確実に到達することができる」とか考えるにはちょっと変なのも事実です。
数字に多少の違いが見られる理由はいくつか考えられますが、いずれにせよ、ゾーンだからすぐ確定した答えが出るとは考えないほうがいいことは言えるでしょう。
UZR開発者のMGLは最近ブログの読者から改善のためのアイデアを募集していましたし、現段階でかなり説得力の高い指標ではありますがまだ試行錯誤は続いてくようです(頭が下がります)。

RF関連のつぶやき

セイバーメトリクスに関連する用語で検索したりして勉強をしていると、さまざまな言説を目にすることができます。
その中で守備指標に関して時々気になるなぁと思うことがあるので、自分なりの見解を書いておきたいと思います。
他の方の活動を否定するものではなくて、自分の捉え方ですので、悪しからず。




・RFは遊撃手と外野手(特に中堅手)以外はアテにならない

これはこちらのコラムなどで見ることができる意見でwikipediaなんかにも引用されていますが、私はそうは思いません。
単純に自分で打球を処理する以外のコンビネーションのプレーが多くなると(内野手であれば基本的には補殺に対して刺殺が多くなると)守備力の評価としてはノイズが入りがちになると思われます。
これは一塁手と二塁手なんかに見られる状況であり、たしかに相対的には信頼度は下がると考えられるかもしれませんが
元々対象にとることを想定されていない一塁手は別として、三塁はこの意味ではむしろ遊撃よりも信頼度が高いと考えられますし、二塁もやや低いにしても遊撃の場合と比べて急に使えなくなるとは思いません。
コンバートの互換性などを見てもそこまで異なる質のプレーが行われるわけではないでしょう。実際、信頼度が高い守備指標とされるUZRと各守備位置のRFの相関では、三塁手は遊撃手より強く結びついています(FanGraphsから直近3年分のQualifiedリスト使用)し、二塁はやや低いですが遊撃は良くて二塁はダメと結論できるようなものではありません。外野では中堅よりも両翼のほうが高い相関となっています。
年度ごとの再現性も、ここから少し推し量れると思います。
NPBとMLBは違いますがNPBのデータからも特段遊撃手と中堅手以外アテにならないことを示すデータは私は得ていません。補正をしてサンプル数を確保していくとすれば、投手と捕手以外についてはそう格差はなく参考になるレンジの指標が得られるのではないかと思います。Hardball Timesなどにこの手の研究は結構あります。



・RRFはタイロン・ウッズの評価が高くなるような指標だから信頼できない

別に通常なら気にするレベルにない言説なんですが
これってなんか私のサイトのせいな気がするんで……。
前述の内容ともちょっと関連してきますが、この種の言説には主に3つの疑問があります。

a.選手のデータを恣意的に切り取っていること
別に私のサイトとは関係ないのかもしれませんが、当方のサイトに掲載している限りとしてウッズのRRFが良いのは2008年だけであって他は全てマイナス。長期的スパンで見ればRRFがウッズの守備を高く評価しているという事実の認識自体正しいとは言えません。で、サンプル数に注意が必要なことは例えばページ内に書いています。
>偶然の打球分布の影響などを考えるとRRFでそもそもの対象になっている遊撃手ですらフルイニング出場でも1年では足りませんし、プレーの絶対数が少ない一塁手や三塁手は尚更の話です。できれば数年の推移を見守りたいところ。

b.少数のサンプル、特定の守備位置で全体を語ろうとしていること
ウッズのサンプルというのはRRFの対象となる守備者のほんの一部にすぎず、またRRFはそもそもは遊撃手用の式であって、一塁手は補殺のみを対象として出されていて対象となるプレー数が少ないことも合わせて他の守備位置の数字に比べて信頼度が低いと言えます(このことも前から書いています)。
ですから、仮にRRFによるウッズの評価が間違っているとしても他の守備者、他の守備位置のRRF評価がどうかはわからないということです。

c.そもそもウッズの数値が高かったらRRFが信頼できなくなる理由の論証がないこと
例えば2008年のウッズは実際に頑張っており、イメージの側が間違っている可能性です。まぁウッズの場合についてはそんなわけないと言っちゃってもいいような気はしますが、これはRFが評価されるときにいつもつきまとう問題です。

このようなネタが流通する元々の意図としてあるいは「象徴的な例としてウッズの数字があり、他にも色々おかしい」ということがあるかもしれませんが
繰り返しますがウッズの数字の認識自体どうなんだろうと思いますし、個人的にはRRFはサンプル数が確保できれば多少の参考にはなる指標だと考えています(このことについてはこの前コラムに書いたばかり)。
ウッズ云々はまともに押している論者がいるわけではなくて私がたまたま見つけたものに過敏に反応しているだけだと思います。とはいえ守備指標への批判って結構この「型」に沿ったものがあるわけで。

守備は数字で評価できないと思っている人に無理に指標を売り込もうという気は私にはありません。
ただ中立的でこういう議論にいくらかの興味を持ってくれる人が一方の意見だけを見て「あら、そうなの」と思ってしまうと何かもったいないような気がするので、もう一方の意見もあることを事実として書いておきたいと思うわけです。


なにか他にも書こうと思っていましたが疲れたのでこの辺で……。

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管理者:クロスケ

野球全般好きで、プロ野球をよく見ますが特定の球団のファンではありません。
セイバーメトリクス(野球の統計的分析)の話題が多く、馴染みのない方にはわかりにくい内容があるかもしれませんがサイトに体系的にまとめています。

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